アラフォー女性が大手企業を退職
山梨に移住し、有機農業を始めた

2019.12.11 UP
小嶋 香里
【1975年・愛知県出身】
Writer Profile
狩野 園佳

Written by

Karino Sonoka

Photographer Profile
小嶋 香里

Photograph by

Kojima Kaori

縁ナシ・土地ナシ・経験ナシ

2019年1月。小嶋香里さんが育てた自然薯が、野菜ソムリエ・サミットの金賞を受賞した。

振り返れば、約2年前。「一杯飲もう」と彼女に誘われ、新宿にある行きつけの立ち飲み屋で会った。ざわざわとした喧騒の中、ソーセージをおつまみに何杯目かのビールを飲んだ後。真剣な表情で彼女が言った言葉を、私は今でもはっきり覚えている。

どうしても、作る側になりたいんよね。

それまで彼女は、食に関するプロモーションの仕事に取り組んできた。積み重ねてきた食や農業に対する想い。それらが凝縮された言葉に感じた。

どうしたらいいか?という相談ではない。頑張れ!と背中を押してほしいわけでもなさそうだ。ただシンプルに決意を告げられた。「おぉ、この人はついにやるんだな……」大いなる尊敬と少しの羨望を感じた。まったく経験が無い農業をやるために地方移住すると言う、40代独身の彼女に対して。

あの日から約2年。金賞受賞の知らせを聞いた私はLINEスタンプそのままに、よっしゃー!とリアルにガッツポーズした。でもその直後、なぜか涙腺が溢れそうな自分を自覚しながら、彼女の道のりを思い返した。



『北の杜FARM』代表:小嶋香里。41歳の時、20年近く勤めた大手印刷会社を退職し、山梨県北杜市に移住。女手独りで有機農業を始めた。ちなみに彼女の実家は愛知県。ご両親は公務員と銀行員だ。すなわち農業は未経験。さらに農地も持っていない。そして、移住する山梨県北杜市に知り合いは1人もいなかった。



母親からは、当然反対されたわ。
なんで、あんたがやるの?って。

やっちゃいかんのか!?
諦めてやめて、何か残るんか!?
私はそう言い返してたわ(笑)

その時、彼女にあったのは「食」に対する想いだけ。ずっと彼女の心にあった、自らの手で作り世に届けたい想い。その気持ちを抑えられず、パンツスーツを着こなすビジネスパーソンから、ツナギに長靴で軽トラを走らせる農家に転身した。



「地方移住・新規就農」憧れる人は多いが、実行に移すハードルは高い。そのハードルを小嶋さんはどうやって越えられたのだろう?昼夜問わず農業に没頭し続ける、アラフォー単身女性の挑戦。その源を知りたくて、小嶋さんの【わたくしごと=私らしい仕事】発見ストーリーを取材した。

小嶋 香里 Kojima Kaori
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